教育

過熱する部活動は運動部ばかりではない!

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部活動問題といえばスポーツの問題にフォーカスしがちですが、文化部にも問題があります。それは吹奏楽部です。テレビなどでも取り上げられ話題となっており、女子中高生が熱心に取り組んでいる姿が視聴者の心を打ちますが、その裏では、やはり、運動部同様、過激すぎる部活動の実態があります。

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部活動時間見直しにも屈しない部活動

文部科学省とスポーツ庁は今年はじめに、中学校や高校の部活動について、休養日を適切に設けるよう全国の教育委員会などに通知しました。スポーツ庁は昨年、全国の中学校を対象に休養日の設定状況を初めて調査しました。その結果、学校の決まりとして

休養日を定めていない学校が22・4%
週1日の休養日を設けているのは54・2%
週2日は14・1%

健全な部活動の運営のために、まずは休日をしっかりとろう、という動きが出始めました。しかし、この通達がされてもなお、土日に部活を行う強豪校がすくなくありません。私自身が教育現場経験者であるため、部活動の話題も多く耳に入ります。
今回は吹奏楽部についてですが、吹奏楽部もかなり加熱した側面があります。1週間に休日を2日設けるという事は、平日に1日、土日に1日、というのが一般的になります。しかし、週末の土日に様々な抜け道を使ってスルスルと部活動が行われる実態があるようです。また、平日の放課後部活も夜の7時過ぎまで行われることも少なくありません。

そもそも部活動は、建前では先生方の仕事ではなくボランティアです。実際には校務分掌で振り分けられるので、部活動顧問をやる、やらないの選択はできません。顧問の先生方は休日には4時間以上で3000円もらっていますが、平日は0円でボランティアとして部活動指導をします。先生方の善意により成り立っている部活動であり、社会体育というような体制も導入し始め、管理職である校長、教頭は部活動に口が出しづらい状態になっています。学校の管理下を離れているといってもいいでしょう。ましてや大会でいい結果が出ていればなおさらです。大会で勝てば保護者も文句を言いません。教育委員会が何と言っても、一部の過熱した顧問の先生は、練習時間を短くすることは考えておらず、むしろどのようにこの局面を切り抜け、今まで通り長時間部活やり続けようかと必死で考えています。

ではなぜ、このように異常なまでに長時間部活をすることになってしまうのでしょうか?

伝統とそのプレッシャー、権威

なぜ長時間部活をすることになってしまうのか、その理由を箇条書きにしてみます。

① 顧問にとって部活が生きがいである。
部活動の長時間労働が問題になっていますが、一部の吹奏楽部の顧問にとっては生きがいの時間でもあります。大会で勝てば、その先生の名前は知れ渡ります。出世にもつながります。生徒にグレードの良い楽器を購入するよう求めたり、高額なレッスンに通うことを求めたりするケースもあります。もちろんそれと引き換えに、顧問の先生は「必ず勝つ」事を約束するわけです。従順な子どもたちを長時間厳しく指導し、結果を残せば、人生をかけてここまでやってきてよかったという感動も味わえます。生徒も保護者も大会に勝つことで今までの苦しかった思い出をすべて消し去り、ステキな思いでに変えることができるのです。

② 伝統のプレッシャー
①で触れたような熱心な先生も、永遠とその学校にいるわけにはいきません。私立では可能ですが、公立では必ず時が来れば転任します。さて、今まで長い間勝ち続けてきた学校に新しく赴任する吹奏楽専門ではない先生は、一体どんな気持ちで毎日を過ごすのか、想像してみるとその苦しさが少し理解できます。生徒は今まで通り強い吹奏楽部でありたいと望み、自分になかなかなついてくれない。保護者も自分の子どもが3年生になった時こそいい結果で部活を引退してほしい!そう望むものです。しかし顧問自身には吹奏楽の経験がない。でも学校の体制の中で自分が吹奏楽部を担当しなければならない。真面目な先生ほど「絶対勝たなければ・・・」と一生懸命になります。どんな手段を使っても勝たなければ!そういう思いになります。

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③ 保護者の願い
上述のように、勝ち続けてきたり、また、いいところまで来ている学校の保護者は、やはり大会でいい結果を残してほしい、我が子の喜ぶ顔が見たい!そう思います。顧問の先生がどんな思いでやっているのかを知らなければ、「先生!期待していますよ!」なんて軽々しく言ってしまうのもですよね。自分が頑張る事でたくさんの人が喜ぶなら・・・と、顧問の先生は精一杯頑張ってしまうこともあります。

このように様々な理由から、部活動時間についての通達が無視される場合が多いのです。悲しいのは、このような実態の裏で、犠牲になる人たちも数多く存在するという事です。

過熱し過ぎる吹奏楽部の犠牲者

① 心を病む教員
上述のような様々なプレッシャーや多忙から、精神を病んだり、職を辞する先生も少なくありません。先生の仕事は部活動だけではないのです。

② 部活動時間規制を守って活動する顧問、生徒
部活動の時間が見直され、教育委員会からの通達があった学校は、少しずつその実態を改めようとしています。そのことで部活賛成派ではないけれど部活を受け持ち子どもたちの成長やその活動に小さな喜びを感じながら日々部活動を行っている先生方は、「週2日部活なし」を大腕を振って実行していい。しかしその一方で、その決まりを無視して長時間の練習をしている学校に勝つことは難しくなります。どんなに工夫して練習内容を良くしても、良い楽器を使って長時間練習し、個人レッスンを受けている生徒ばかりの強豪校とは差が広がるばかりです。

③ 吹奏楽のみで過ぎていく学生生活
 吹奏楽部に所属している生徒で、将来音楽方面に進む生徒は全体のうちのどのくらいいるのでしょうか。

「質の高いコンサートをやりきり『やりきりました。もうこれ以上の合奏は出来ないでしょうし、もういいです』と言って卒業する。恐ろしいのは、そんな彼が言った一言です。

『卒業してみたら、自分には何にも残ってませんでした・・・。』」

これは実際にある大学に指導に入った外部講師の方のブログからの一説です。
 中学生、高校生といえば頭が柔らかく、様々な可能性を秘めた年代です。その時期に将来の目標とは繋がりのない部活活動のみしかできない状態にすることは、広い意味では他の可能性を潰すことになります。本を読んだり、料理をしたり、家族と過ごしたり、自分の好きなことに没頭したり。人生で大切なことは、部活動の大会で勝つことだけではありません。
参考サイト1

④ 燃え尽き症候群の生徒
明けても暮れても練習練習。プロ顔負けの演奏をする学生さんたち。でも燃え尽きてしまう人、少なくないようです。学校の部活動の最終目的は何なのでしょうか?吹奏楽部の場合「生涯にわたり音楽を愛好する」素地を養うことではないのでしょうか?誰のための部活なのでしょう。
参考サイト2

まとめ

 吹奏楽部が過熱してしまう大きな原因は、一部の熱心な先生方が、大会に勝って力をつけていくことで、吹奏楽の組織を動かす側にまわり、吹奏楽の組織をさらに盛り上げていこうとすることにあるのかもしれません。運動部も同じですが、とても狭い世界で繰り広げられている特殊な世界であり、外からは見えづらい。だからこそ外から手が入らない。部活動自体が、外から口出しできない組織に発展していまっている実態があります。50年以上も放っておいたのですから仕方がないのかもしれません。
 吹奏楽部は外から見ると華やかで素晴らしく、中高生の一生懸命な姿か印象的です。子どもたちが生き生きと音楽を楽しむのはとってもいい事です。しかしその裏にもまたブラックな真実もあります。肉体的疲労がそれほどないため運動部の陰で見過ごされがちですが、文化部の実態についてももう少し実態把握をする必要があると感じます。

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