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ノーベル賞2017!行動経済学ってどんな内容?経済にどう役立つの?

投稿日:2017年11月23日 更新日:

ノーベル賞の経済学賞を受賞したリチャード・セイラーさん、ちょっと話題になっていますね。行動経済学などと言われる分野のようですが、何が彼をノーベル賞受賞へと導いたのか、彼が研究している分野はどのような分野なのか、ちょっと知りたくなりますよね。そこで今回は、簡単にザックリとですが、どんな彼の研究がどんなものなのかまとめてみたいと思います。

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ノーベル賞2017年!行動経済学って?セイラーさんの研究って?

セイラーさんは、アメリカ合衆国の経済学者でシカゴ大学教授。専門は行動経済学。行動科学の理論家として国際的な研究業績を持ち、ダニエル・カーネマンらと協働し研究を牽引してきた。 ーウィキペディアよりー

ナッジ(nudge)とは、「ヒジで軽く突く」という意味。科学的分析に基づいて人間の行動を変える戦略のこと。

例えば、男性用の便器の中央より少し下に「ハエの絵」を描くという戦略によって、男性トイレの飛び散り汚れが減り、清掃費を削減することができた。

トイレの飛び散り汚れを減らしたいと考えた時に、「トイレをきれいに使用することにご協力ください」と書かれたチラシを何枚も貼っとします。しかし、それによって飛び散り汚れを改善できるかと言えば、それほどの効果は期待できないでしょう。しかし、人間の行動を研究し「人は的があると、そこに狙いを定める」という行動パターンがあると分かった。そこで、便器の中にハエの絵を描いたところ、人は的を定めることによって、結果としてと飛び散り汚れが減ることになった。しかもかなり大きな額の清掃費が削減されたという。

このように、人の行動を科学的に分析する事で、何かしらの戦略を立て、好ましい結果に人々を導くことができる。これがナッジという事。

誰も「トイレの汚れを軽減するために、あのハエを狙って、用を足そう」とは考えていないでしょう。ただ、そこにハエの絵があるから狙いたくなった、それだけの事。

私たち人間には、自分では全く気づかないような行動パターンがあります。その行動パターンをうまく利用することで、物事を好ましい結果へと導くことができる。セイラーさんの研究とはこのような方法で世の中に貢献することなのでしょう。

ノーベル賞2017年!人を幸せにするナッジの内容とは?

アメリカでは、年金の加入率がとっても低かった。企業が従業員のために年金制度を用意しているにもかかわらず、人々は加入しようとはしなかった。その理由は、加入のための書類がとても分厚くて、いくら貯金するか、どこに投資するかなどあれこれと書き込む必要があったから。

そこで、方針を180度転換し、年金に加入することを前提とし、加入したくない人だけ「年金脱退申込書」を書くようにした。自動加入が前提のこの方法によって、年金加入率が90%にまで上がった。

セイラーさんは言います。
「ものぐさな人間の性質を逆手に取ったんだよ。いったん加入してしまえば、わざわざ退会はしないだろう。人間らしさを利用して、人助けをしたという訳さ。」

また、クレジットカードの使い過ぎによる問題を改善するために、クレジットカード規制法によって明細書のようなものに「借入金」「返済期間」「返済総額」を明記することにした。

その結果、1兆4000億円の借入金を抑制することができたのだとか。確かに、借りたお金の額の大きさや、10年以上に及ぶ返済期間などを目の当たりにしたら、ぞっとしますね。もう借りるのはやめよう、と思うのだろうと想像がつきます。

その他にも、スーパーマーケットなどで、売る食品を精選するのではなく、ただ単に「健康に良い食品」と「健康に良くない食品」を売り場のどの位置に置くかを検討する。狙いは、人々が健康な食生活を送れるように促すことです。

このように、セイラーさんの言う「人間らしさ」を利用することで、人々に良い結果をもたらすことができるのがナッジです。

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しかし、逆に「人間らしさ」を悪用することもできます。私たちはいたるところで「人間らしさ」を利用される可能性があることを知って行動したほうがいいのかもしれない、という事です。

これは悪い事という訳ではありませんが、例えば、テレビショッピングでは、たくさんの方法を使って私たちが品物を買いやすい状況を作り出しています。

① 利用可能性ヒューリスティック効果
「〇〇さん(有名人)も愛用!」とか「売り切れ続出!」などと言われると、それが本当なのかどうか、調べることもせず、その情報をそのまま信じてしまいます。

② アンカリング効果
最初に「なんと!このTVが199,800円!」と聞いた後「さらに今回は50000円の下取り!ということは、なんと、149,800円!」と言われると、安くなった額が大きく、買いたくなります。でももともと14万円の品物だったのかもしれないですよね。

③ 現在バイアス
支払いは「つけ払いOK!」「返金無料!」などの言葉も、私たちにとっては都合のよい言葉で、支払いを先延ばしできる、と言うのが、たった今魅力的に感じたりします。2か月後に払うなら大丈夫だろう。なんて考えてしまいがちということです。

④ 保有効果
いくら返金無料と言われても、人は一度手にしたものは愛着がわいて手放したくなくなる。こんな研究もあるようです。

これらは決して悪い商法ではないですが、私たち人間の「人間らしさ」を上手く利用して商品を上手に売っている、ということは間違いないですね。商品を購入するという事については、売り手も買い手もお互いハッピーになる事ではあるのですが、一応、このような効果が様々なところで使われているということを知っておくのは、大切な事なのかもしれません。

ノーベル賞2017年!日本の経済のためにも使用が始まっている?!

日本でもこのナッジを使った取り組みが始まっているそうです。

二酸化炭素を減らすために、省エネをススメてきましたが、なかなか思うような結果が出てきません。そこで、近々レポートを作成し利用明細のようなものにのせて各家庭に送るという試みが始まろうとしているそうです。

そのレポートとは、省エネ上手な家庭の使用量と比較したもので「年間を通して〇〇万円の出費増です。」というようなことを記載するものだそうです。


これを見ることによって、省エネに取り組もうという気持ちが大きくなり、上手くいけば、年間の電気料金3兆円削減できるのだそうです!
上手くいけばいいですね!
参考:クローズアップ現代より

まとめ

このような考え方、とても大切だと感じます。人々に「○○するようにお願いします」と言ったところで、そのお願いを聞く人はそれほど多くはありません。しかし、人の行動を研究し、それをうまく利用することで、問題が解決されるのであれば、誰も努力もせず、お金もそれほどかけずに状況は良い方向に向かいます。

昨今、働き方改革が盛んに呼びかけられていますが、これについても「早く帰るようにしましょう」「仕事を効率的に終わらせましょう」と呼びかけたところで、状況を改善するのは難しい。しかし、

「ダラダラ仕事をすることは無能な証拠だ」
「無駄を省くことで仕事は効率的になる」
「長時間労働は健康に悪い」
「長時間労働は家族に負担をかける」
「ずっと同じ場所で時間を過ごすことで、他の経験から学ぶ機会を失っている」
「リラックスしている時間にアイディアは生まれる」
「あなたのサービス残業をお金に換算すると○○万円です」

こんな側面が社会の常識になるならば、人々は自ら長時間労働を考えるようになるかもしれません。

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